圧力計は、どれも同じような形をしており何を選んでも大差ないと思われる方もいると思います。しかし、圧力計の選定は意外に複雑で誤った圧力計を選ぶと、取付が困難であったり、寿命が短くなったりします。最悪の場合は事故に繋がる事さえあります。
正しい圧力計の選定方法を知り、お客様の現場により相応しい圧力計を設置して下さい。
選定項目
圧力計を選定する為には次のような条件を確認する必要があります。
・圧力レンジ ←今回の内容
・ネジ径
・形状
・大きさ
・接液部(接ガス部)材質
今回は圧力レンジ編です。
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圧力レンジ(測定範囲)の選び方
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圧力計レンジとは圧力計がもっている測定範囲のことです。
圧力計は馴染みがない方も多いので分かりやすく身近な測定機器で例えてみます。
竹ものさしの測定範囲・・・0~30cm
体重計の測定範囲・・・0~120kgなどとなります。
ものさしではcmという長さの単位、体重計ではkgという質量の単位が使われています。
それでは圧力計の場合はどうでしょうか。
現在、国内で製造されている圧力計では「Pa」という単位が使われています。
また、1000倍を表す「k(キロ)」や百万倍を表す「M(メガ)」をつけて
「kPa(キロパスル)」や「MPa(メガパスカル)」という単位も用いられます。
ただし、1Paという圧力は非常に小さいので、
一般的な圧力計では「Pa」に比べて「kPa」や「MPa」で表記された圧力計の方が大多数を占めます。
天気予報で目にする「hPa(ヘクトパスカル)」は「Pa」に100倍を表す「h(ヘクト)」をつけた圧力の単位ですが、計測の世界では「h(ヘクト)」という接頭辞は一般的ではないので
気圧計などの特殊な製品以外では見かけることは少ないでしょう。
「Pa」単位以外でも海外製の圧力では「psi(ピーエスアイ)」や「bar(バール)」「ton(トン)」などが使われています。
また、国内でも以前は「kg/cm2(キログラムパースクエアセンチ)」や「cmHg(水銀柱センチ)」などが使われていました。
次に圧力計の測定範囲についてです。
圧力計の測定範囲は上限と下限があります。
例えば、「長野計器製 普通形圧力計AE20-131×1MPa」の測定範囲は下限が0MPaで上限が1MPaです。
0~1MPaのように表しますが、商品名などでは下限が0の場合、省略して1MPaなどと呼ぶこともあります。
下限は「0」である商品が多いですが「0」以外にも「-0.1MPa(-100kPa)」や「-50kPa」etc…など
他の下限値を持つ圧力計もあります。
上限は幅広く、50kPaの様な低い圧力から100MPaを超える高い圧力まで様々な圧力計があります。
次に圧力範囲の選定方法について紹介します。
推奨では”常圧の2倍程度”とされています。
「普段から配管などにかかっている圧力の大体2倍くらい」ということです。
例.0.5MPa付近の圧力を計測する場合
○0~1MPaの圧力計
×0~0.5MPaの圧力計
×0~10MPa
0.5MPaを測るので0~0.5MPaで問題ないと思われた方も多いと思います。
しかしその場合、指針がずっと上限辺りにとどまる事になってしまいます。
さらに、少し圧力が大きくなり0.6MPまで上昇すると、すぐに限界値の0.5MPaをオーバーしてしまいます。
例:50ccスクーターで60キロ走行する
(フルスロットルです。スピード違反です!!普通二輪か車に乗ってください。)
可能である事と推奨される事とは違います。
それとは反対で測定したい圧力に対して5倍10倍の圧力計では、目盛の刻みが荒くなる為、細かい値が読み取り難くなってしまいます。
例:観光地に、日本地図を持参する
(縮尺があっていません。観光用の雑誌を買いましょう。)
そのような理由から長野計器などのメーカーは、”常圧の2倍程度”を推奨しています。
また、圧力(ゲージ圧)ではマイナス側も測定する場合もあります。
真空計:負圧の測定→-0.1~0MPa
連成計:普段は0.5MPa程だが真空側も測定したい→-0.1~1MPa
用途に応じてご検討ください。