今回は、校正の必要性と校正の種類について、ご説明します。
そもそも計測機器の校正はなぜ必要なのでしょうか。
・精度内に入っているか、確認したいから
・故障していないか確認したいから
・ルールで決められているから
色々挙がると思いますが、一番多いのは「規格や法律への適合性の確保」、それに加え「トレーサビリティの確保」です。
規格や法律で校正を必要と定めているから、決められた周期で校正が行われています。
裏を返せば、計測機器の測定値は、変化し続けるため、周期的に校正をしないとある程度の信頼性を保てないため規格や法律で定められているということです。
業界や業種によって関係している規格や法律は多種多様です。
(規格や法律によって求められる内容が異なるため、答えは一つではありません)
下記に校正が関係する代表的な規格及び法律を記載します。
*規格
ISO 9001 品質マネジメントシステム (適正な間隔で定期的に校正を実施して再評価する事)
ISO 14001 環境マネジメントシステム (適正な間隔で定期的に校正を実施して再評価する事)
ISO/TS 16949→IATF 16949 自動車産業品質マネジメントシステム (JCSS要求と解釈)
ISO 13485 医療機器産業向け 品質マネジメントシステム (定められた間隔又は使用前に、国際又は国家計量
標準にトレース可能な計量標準に照らして校正又は検証すること)
ISO 22000 食品安全マネジメントシステム (計測器の国家規格または国際規格へのトレーサビリティ)
ISO 9100 航空宇宙産業向け 品質マネジメントシステム
*法律
高圧ガス保安法
計量法
気象業務法
道路運送業
その他 原子力、陸上自衛隊入札条件、アメリカ航空局、薬事法、食品衛生法
次に、圧力計を校正する場合の校正の種類です。
・成績表のみ
・3点セット (証明書、成績表、トレーサビリティ体系図)
・4点セット (証明書、成績表、トレーサビリティ体系図、基準器のJCSS校正証明書の写し)
JCSS校正された基準器と比較し、信頼性が高いことを証明します。
・JCSS校正
NITE(独立行政法人 製品評価技術基盤機構)に認定された事業者のみ実施可能な校正で、被校正器までトレーサブルが確保されます。
規格の要求事項のユーザー解釈(審査員やコンサル解釈含む)によって、校正の種類が変わることすらありますので、信頼できる専門家に質問し、自らが理解することが必要です。